9月議会一般質問(1)~九州北部豪雨について

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 9月県議会一般質問を行いました。
 今回の豪雨災害では、被災地である中山間地における地域コミュニティの維持が危機にさらされており、「地域を守り・地域を活性化させる地方創生」の取り組みを根幹から揺るがしかねない事態になっています。
 県として災害後の対応が多岐にわたる中ですが、今後、迅速な、また実情に即した対応を求めて質問しました。
 以下、要約しました。

 1 九州北部豪雨災害について
(1)再度災害防止対策について  
[井上あきお]去る7月5日の九州北部豪雨により県内でも日田市や中津市などで被害が発生した。とりわけ日田市での災害は5年前の豪雨災害を上回る規模で、死者3名、住家の全壊・半壊あわせて311棟、床上・床下浸水は924棟もの甚大な被害をもたらした。今後、更に地球温暖化の影響による集中豪雨の増加が懸念される。
このような中、県は速やかに復旧・復興推進計画を策定し、災害復旧に取り組むとされているが、再度災害の防止に向けて今後どのような対策を進めていくのか知事の考えを伺う?

[広瀬知事]甚大な被害を受けた河川については、改良復旧に向けて国と協議している。河川の拡幅・河床掘削・蛇行部の是正など抜本的な治水対策を推進する。治山・砂防・河川の各分野で連携した対策を行う。
被災された方が一日も早く安心して元の暮らしに戻れるよう、早期の復旧・復興を進め、再度災害防止に取り組む。

(2)小野地区の復旧について  
[井上あきお]小野地区では豪雨翌日の6日に、かつてない大規模な土砂災害が発生し、多くの家屋や河川・道路・農地等に深刻な被害が発生した。
今後、土砂区崩れ現場の斜面対策と併せて、埋まっている県道や河川をどのように復旧していくのか?

[土木建築部長]斜面・道路・河川を一体とした対策のため、国と協議している。
崩壊した斜面については来年の出水期までに地下水を抜き、構造物を設置し、斜面の崩壊を抑える。道路・河川については現在の仮設道路近くでの新設などを検討中。10月までに災害査定を終わらせ、その後復旧工事に着手する。

(3)治水ダム等について  
[井上あきお]河川の改良を行うと同時に、流れてくる土砂や流木を上流で防ぐ抜本的な対策も必要である。今後、長期的な対策として流水型の治水ダムを、短期的な対策として砂防ダムやスリットダムの整備が必要だが県としての考えは?

[土木建築部長]今回は河川の改良により対応できるので、治水ダムは検討していない。土砂や流木の対策として砂防ダムやスリットダムを造り、現地に応じた対策を進めていく。

(4)情報収集体制について  
[井上あきお]7月5日に多くの災害が発生した大鶴地区の避難勧告が発令されたのは15時50分、避難指示が発令されたのは18時45分だが、その段階で、ほとんどの被害は発生していた。一刻も早い情報把握のために水位計や監視カメラの整備など情報収集体制の整備が急がれるが県の対応を伺う?

[土木建築部長]現在、県管理の河川に、水位計を80カ所・監視カメラを22カ所設置している。今回の水害で甚大な浸水被害を受けた、大肥川・鶴河内川(つるかわちかわ)には新たに水位計3か所・監視カメラ2カ所を設置した。今後、国・市・町と連携しながら情報収集体制の充実に取り組んでいく。

(5)農地等の復旧について  
[井上あきお]農地や農業施設についても甚大な被害が発生しており、日田市の農業関係被害額は43億円である。被害は耕地や農業用ハウス・農機具・果樹棚など多岐にわたっている。農業を継続する人のために一刻も早い復旧が必要だが今後の見通しについて伺う?

[農林水産部長]9月補正予算で農業用ハウスの再建や機械の更新・果樹の改植等に高率で助成する経費を計上している。農地や農業用水路については11月中に国の査定を完了し、迅速に復旧工事を進める。生産者や関係団体の意向を丁寧に聞いて協議を進めたい。

(6)JR日田彦山線の復旧について  
[井上あきお]JR九州の久大本線と日田英彦山線において不通区間ができ、地域住民の貴重な交通手段が失われ、また、観光にとっても深刻な影響を与えている。久大本線については来年の夏をめどに早期復帰に向けて取り組むとのことだが、日田英彦山線については、添田から夜明区間の見通しが立っていない。日田英彦山線の早期復旧について、県からも要望してもらいたいがどうか?

[企画振興部長]被災直後からJR九州や国に要望している。今後もJR九州の調査・検討状況を確認しながら、JR九州に対して、復旧のめどを示してもらい、早期復旧につながるよう要望していく。

(7)住宅の確保について  
[井上あきお]自宅が全壊や大規模半壊したため未だに家に戻ることができず、市営住宅やみなし仮設住宅に仮住まいしている人は日田市で200人規模である。経済的理由等から、再築や改修に踏み出せない方もいる。公営の住宅設置などが望まれるが、災害公営住宅の整備には規制も多いときいている。県としてどのような協力ができるのか伺う?

[土木建築部長]地域コミュニティの維持に配慮しながら、被災者一人ひとりの住宅確保の意向をお聞きして、住宅の確保についてどのような支援ができるか、日田市とともに検討していく。

(8)被災者への医療的・精神的ケアについて
ア 被災者のケアについて
[井上あきお] 災害で長期に避難もしくは仮住まいされている方は、これまでの普通の日常が奪われたことや、将来的にこれまでどおりの生活水準を維持できるのかといった不安などで多大なストレスをかかえている。被災者の身心をケアする体制について県としてどう考えるか伺う。

[福祉保健部長]保健師による避難所での健康相談や、自宅への戸別訪問等を市と連携しながら実施してきた。今後もきめ細かい保健指導を実施していく。

イ 児童のケアについて  
[井上あきお]地域が大きな被害を被った地域の子供たちの中には、いろいろな形で心のありように影響がでる可能性が高い。自分たちの学校で授業が受けることができず、毎日目に入る周囲の景色が一変してしまった小野小学校や大明小学校では、児童へのケアが必要である。県としてどう考えるか伺う。

[教育長]臨床心理士会や地元教育委員会と連携し、継続的に被災した子供たちの心身の状況把握を行っていく。必要に応じてカウンセリングも行い、心のケアに努める。

 質問の最後に、広瀬知事が特に発言を求め、「改良を含めた復旧・復興を行い、地域コミュニティの維持に向けて、県として全力を尽くす」という決意を示していただきました。
 私としても立場の中で全力を尽くします!!

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