「松原ダム・下筌ダム管理50周年記念式典」が蜂の巣公園で開催されました。
この2つのダムは1953年の西日本水害をきっかけに建設されたダムです。
特に下筌ダムの建設をめぐっては、日本最大級のダム反対運動「蜂の巣城紛争」の舞台となったことで知られています。当時のダム建設では、国が地権者に対して工事の内容説明や用地補償の話を行う前に、勝手に山に入って測量を行ったり、樹木を伐採したり、今では考えられない進め方をしたため、住民の堪忍袋の緒が切れたようです。
反対運動のリーダーの室原知幸さんが言った「公共事業は法に叶い、理に叶い、情に叶うものであれ」という言葉は、公共事業のあり方に大きな影響を与えたとされています。
ダムのために先祖伝来の土地や建物を手放した皆さんに感謝しながら、ダムの恩恵を享受しましょう!
(以下、大分合同新聞より引用)
松原ダムと下筌ダム、運用開始50周年 日田市中津江村で記念式典
「蜂の巣城紛争」と呼ばれる反対運動を経て完成した筑後川水系上流の松原、下筌(しもうけ)両ダムが今年で国による運用開始50周年を迎えた。日田市中津江村栃野の蜂の巣公園で28日、記念式典があった。
関係者約80人が出席。国土交通省九州地方整備局の藤巻浩之局長が「ダムをしっかり管理して住民の生活を安定できるよう努める」と式辞。原田啓介市長が「土地や財産を提供した住民のおかげでダムがあり、下流は洪水から守られている」とあいさつした。
ダム建設の様子を紹介した映像を上映し、今後、両ダムに造る記念碑に取り付ける陶板の文面を除幕した。
日田市と熊本県小国町の境にある両ダムは、大きな被害をもたらした1953年の筑後川大水害を契機に建設計画が持ち上がった。建設には483世帯の移転が必要となり、地元では反対運動が起きた。住民は「蜂の巣城」を築き、13年間の闘争が続いた後、和解。ダムは73年に完成した。反対運動のリーダーだった故・室原知幸さんは公共事業の在り方に影響を与えた。
式典では主催者や来賓の国会議員から、室原さんへの思いや、土地を提供した住民に感謝する言葉が相次いだ。
室原さんの長男基樹さん(82)=同市=は「(出席者の話を聞いて)父は大きなものを残し、評価は後世がするということを感じた」と話した。