大分県議会、令和5年第1回定例会は2月27日に開会して、3月8日から10日まで一般質問、13日から各委員会、17日に閉会の日程です。私は一般質問の2日目の9日に質問しました。
質問の要旨と答弁は下記のとおりです。
[井上明夫] 省エネルギー設備の導入や森林経営などの取組による、CO2等の温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証するJ-クレジット制度がある。新年度からは県営林においてモデル的に取り組むが、具体的にどのように進めていくのか
[部長] まずは「クレジット認証」に向けてプロジェクト計画書を作成し登録を行う。その後、活動状況をモニタリングし、認証委員会の承認を受けて、クレジットの販売を行う。県営林での取り組みや成果をモデル事例として、市町村や林業事業体に広く普及したい。
(まとめ)Jクレジットは、林業にとってSDGsの追い風を生かすには最適の制度です。
登録までの手続きが複雑である点やクレジットの売却先の確保のコストが高い点など問題点も多く、もうひとつ普及が進んでいません。
県営林が取り組むことにより、ノウハウをしっかりつかんで、今後Jクレジットが広く普及することにつなげてほしいと思います。
(以下、大分合同新聞より引用)
大分県がCO2排出枠を販売へ 脱炭素社会づくりへ森林活用
森林保全活動を脱炭素社会づくりにつなげようと、県は「J―クレジット制度」の活用に乗り出す。適切な森林管理や再生可能エネルギーの導入に伴う、温室効果ガスの削減・吸収量を国が認証する制度。県有林で吸収した二酸化炭素(CO2)をクレジット化し、排出削減を目指す企業などに販売する。モデル事例として市町村や林業者に広め、「木を育てて、切って、使って、植える」という循環を進めたい考えだ。
制度では適切な手入れや植林をした森林のCO2吸収量と、伐採期を迎えた樹木を切る「主伐」によるCO2排出量を差し引きし、算定結果をクレジットとして申請することができる。
県森林整備室によると、県有林の面積は計約2400ヘクタール。これまでは排出量の方が多い計算だった。昨年の制度見直しで、主伐後の跡地を再造林すると排出量の控除が受けられるようになった。
吸収量の方が多くなる見込みに転じたため、認証を目指す方針を固めた。県有林の管理方法などに変更はない。試算では年間約5千トン分をクレジット化できるという。
新年度から、県有林の状態や過去の手入れ内容を調査。認証に向けたプロジェクト計画書(8年間分)の作成に取りかかる。販売で収益が得られれば森林整備に活用する。
佐藤章県農林水産部長は9日の県議会本会議で「脱炭素社会の実現を目指すとともに、持続可能な災害に強い森づくりを進めたい」と述べた。井上明夫氏(自民)の一般質問に対する答弁。
<メモ>
県によると、森林資源を生かしたJ―クレジットの販売は熊本県や岩手県が実施。大分県内の自治体に実績はないが、民間業者や森林組合の取り組み例がある。価格に規定はなく、直接の取引や仲介事業者を通したやりとりで決められる。岩手県は1トン当たり1万5千円で販売している。
※この記事は、3月10日 大分合同新聞 22ページに掲載されています。