日田スギ製のバイオリンのミニコンサート、ついに実現
日田市の家具会社(株)アサヒの小埜社長が、卓越した木材乾燥技術で樹齢100年越えの日田スギを乾燥させ、長野県の楽器工房に依頼して、日田スギ製のバイオリンが誕生しました
この日、市内の会場でミニコンサートを開催し、来場者は「日田スギ製バイオリン」の柔らかな音色に酔いしれました🎵
今後、日田スギ製バイオリンの音色を多くの皆さんに楽しんでいただけることを願っています
(以下、西日本新聞より引用)
日田杉バイオリン 地元の家具メーカーが製作 独自の乾燥技術生かす
2021/5/28 11:30 (2021/5/28 17:57 更新) [有料会員限定記事]
日田市の家具メーカー朝日木工が、地元の日田杉を使ったバイオリンを製作した。一般的にスギ材は強度が比較的弱く、振動の特性でバイオリンには向かないとされるが、材木を人工乾燥させる同社の独自技術が生き、珍しいスギバイオリンを完成させた。技術力をアピールするのが狙いで、小埜(おの)澄夫社長(73)は「演奏家にいい音色と評価を受けた。社員の自信につながった」と話す。
1946年創業の同社。2代目の小埜社長は、会社の家具作りの技術を高めていく中で、海外などの安価な製品に押されていくのが気掛かりだった。およそ8年前、ファンであるバイオリニスト高嶋ちさ子さんの演奏を聴いている際に思い付いた。技術の高さを証明するため「スギ材でバイオリンが作れないか」。
バイオリンは、音を伝える振動体となる表板に針葉樹のトウヒ(英語名・スプルース)が使われ、裏板などはカエデ(同・メープル)が使われることが多い。小埜社長は楽器メーカーのヤマハなどに相談し、国内の楽器製作者を探したが、引き受け手はなかなか見つからなかった。2019年に長野県内の製作者に木材を持ち込んで直談判し、ついに承諾を得た。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で製作に時間がかかったが、表板に樹齢100年超の日田杉の木材を使用したバイオリンが今年3月に出来上がった。内側の空気振動を外に伝えて音を響かす「F字孔」と呼ばれる繊細な部分に、ひびが一切ないなど、小埜社長は「材木を芯から乾燥させる自社の高い技術が表現できた」と自負する。
社内で演奏会を開くと、当初は「本当に音が出るのか」と心配した社員たちにも好評だったという。小埜社長は「家具作りの原点は木材の乾燥と思っている。今後も新たな挑戦を続け、日田の木工産業をアピールしたい」と話している。
バイオリンの音色は、同社のホームページから聴くことができる。ミニコンサートの開催も検討しているという。 (吉田賢治)